研究紹介 - 仮想・複合現実感
影付け平面を用いた複合現実感における高速陰影表現手法
複合現実感において実・仮想物体の陰影を一致させる光学的整合性問題の解決を目指し,影付け平面を用いた高速陰影表現手法を提案する.本手法は前処理段階で影付け平面をシーンに配置し,基礎光源によって物体の影を生成して基礎画像として蓄える.逐次処理段階では,魚眼レンズ付きカメラを用いて取得した全方位画像から実世界の光源分布を推定し,基礎画像と放射輝度パラメータの線形和を求めることによって実光源環境に対応した影画像を生成する.次に影画像を影付け平面にマッピングし,アルファブレンドすることによって物体表面の影を擬似的に表現する.本手法はモデルベースであるため視点変更が可能である.またGPUを用いた実時間処理が可能である.そのため従来手法と比べて屋外などの光源環境が変化するアプリケーションに有効である.室内・屋外環境における実・仮想物体の合成に本手法を適用し,合成画像の現実感が向上することを確認する.
発表論文
- Tetsuya Kakuta, Takeshi Oishi, Katsushi Ikeuchi, "Real-time Soft Shadows in Mixed Reality using Shadowing Planes", Proc. IAPR Conference on Machine Vision Application (MVA2007), May. 2007, pp.195-198.
- Tetsuya Kakuta, Takeshi Oishi, Katsushi Ikeuchi, "Shading and Shadowing of Architecture in Mixed Reality", Proc. Int. Symp. on Mixed and Augmented Reality (ISMAR 2005), October, 2005.
- Tetsuya Kakuta, Takeshi Oishi, Katsushi Ikeuchi, "Virtual Kawaradera: Fast Shadow Texture for Augmented Reality", Proc. Int. Society on Virtual Systems and MultiMedia (VSMM 2004), Nov. 2004. pp.141-150.
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全方位カメラを用いた屋外複合現実感におけるオクルージョンを考慮した移動物体の検出と影の除去
複合現実感(MR)における実物体と仮想物体のオクルージョン問題を解決するため,実画像から前景領域の抽出と影領域の除去を行い,さらに画像中の位置座標から前景物体の奥行き推定を行う手法を提案する.前景領域の抽出については確率モデルに基づく手法を用い,色,コントラスト,時間的事前確率を用いて精度を高める.確率モデルにおけるエネルギー最小化にはグラフカットを用いる.また抽出した前景領域に対し,各画素の色度とカメラの分光感度特性から求められるlogF値を用いることにより,影領域を除去する.最後に画素ごとの描画判定に利用されるステンシルバッファを用いて,前景物体によるオクルージョンを考慮しながら仮想物体の重ね込みを行う.屋外環境で全方位カメラを用いてパノラマ単画像を撮影し,画像シーケンスに対して仮想物体の合成を行うことによって提案手法の有効性を確認した.
発表論文
- Lu Boun Vinh, 角田哲也, 川上玲, 大石岳史, 池内克史, "全方位カメラを用いた屋外複合現実感におけるオクルージョンを考慮した移動物体の検出と影の除去", 情報処理学会研究報告 2008-CVIM-163 (34), May. 2008, pp295-300.
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